神埼市神埼町小渕 佐野ハツさん(明12生)
その、賭けすって。
「梨ば、わが屁ふって、みんな落としてみしゅうかあ〔見せようか〕」
ち言うて。そいぎい、
「そんない、落しゆんない〔落とせるなら〕落してんろ。
屁位ゃあで梨の落ちんもんかあ」ち言うてから、賭けしたらしかねえ。
そしたいば〔そしたらば〕もう、ずーっと、山から確か、
牛じゃい何じゃい引いて来たもようですねえ。そうしたいば、
「そんないば、わが屁ふって落して見すってえ」ち。
そうして、梨のいっぱい実(みの)っとっとの、
ブーウと、屁しなったぎい、ボテボテボテ落ちて、
お金ばたくさん取ったち言う話ば聞きよったですよ。
〔大成 三七七 屁ひり嫁(cf.AT一四五〇)〕
(出典 吉野ケ里の民話 P139)
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