神埼市神埼町小渕 佐野ハツさん(12)

 その、賭けすって。

「梨ば、わが屁ふって、みんな落としてみしゅうかあ〔見せようか〕」

ち言うて。そいぎい、

「そんない、落しゆんない〔落とせるなら〕落してんろ。

屁位ゃあで梨の落ちんもんかあ」ち言うてから、賭けしたらしかねえ。

そしたいば〔そしたらば〕もう、ずーっと、山から確か、

牛じゃい何じゃい引いて来たもようですねえ。そうしたいば、

「そんないば、わが屁ふって落して見すってえ」ち。

そうして、梨のいっぱい実(みの)っとっとの、

ブーウと、屁しなったぎい、ボテボテボテ落ちて、

お金ばたくさん取ったち言う話ば聞きよったですよ。 

〔大成 三七七 屁ひり嫁(cf.AT一四五〇)

 (出典 吉野ケ里の民話 P139)

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