唐津市鎮西町松島 高平ハツネさん(大5生)

 和尚さんがけちで、けちでもう、

ご飯を小僧さんに腹いっぱい食べさせなかったそうですよ。

そしてもう、どうしたら腹いっぱいご飯ば食べられるじゃろうかと思うて、

小僧さんが考えとったそうです。

そうしたら、和尚さんが、

「お客さんが一人来た時は、こうするから、こうした時は一升炊け。

こうした時は二升炊け。手で合図するから」て、言うとったそうですね。

そうして、小僧さんが便所の板を半分ぐらい切っとたそうですと。

そして和尚さんが、便所に行ってから、便所の板が折れてから、入(はい)って、

「小僧、助けてくれ。小僧、助けて暮れ」叫(おら)びよるけん、

走っていたら、手をこうしとったそうです。

「ちょっと待っとかんですか」て言うて、こうしとったからと言うて、

一升、米洗うて炊いたそうです。

そん時腹いっぱい、ようやく食べた。

(出典 未発刊)

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