唐津市鎮西町松島 高平ハツネさん(大5生)
あの、お嫁さんに行ったら、もう屁ふっごとできんて。
屁ふったら恥になるからて、親から言いつけられて、
嫁さんに行く娘さんが言われて、行ったそうですたい。
そうしたところがもう、屁がふりとおして、屁がふりとおしてから、
「もう、ふったらいかん」と、言われとんもんじゃいけん、
いっちょん、屁出さずにおったら、色が蒼(あお)うなってもう、
その嫁さんな、何(なん)か病気にかかったごとなって、しよったそうですよ。
そして、
「何(なん)か、お前は近頃、色が悪うなってもう、
何(なん)の病気じゃろうか。痩せてしまっとるよ」て言うたら、
「どぎゃんかあっとじゃなかね」て、聞いたそうですたい。
そうしたら、
「屁がふりとおして、屁ばふりとおしてたまらんとば、こらえとっと」て。
「そんならもう、へってみんね、良かけんが。へらんね」
て言うてから、そこが、前が畑じゃったそうですもん。
もう屁ふる、屁ふる。
大風のごとブンブンもう、ふるそうですもん。
そうしたら、今度お爺ちゃんとお婆ちゃんが色は蒼(あお)うなって、
もう吹き飛ばさりゅうごたって、前の大根にかがいついたら、もうその大根がぬけ。
まいっちょにかがいついたら、まいっちょもぬけ。
畑いっぱいもう、ぬかれてしもうて、その屁で。そして、
「もう、やめてくれんね」て、今度(こんだ)あお爺ちゃんと、
お婆ちゃんがことわけ言うたそうですよ。
そんなこらえとったそうですよ。
(出典 未発刊)
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