呼子町加部島 向 六太郎さん(明38生)

 (なに)が、雷さんの子が落ちて来たきたそうですな。

そうしてところが、皆たかってきてですな、人間が、

「ここば何処てここゆるか。ここは天神さんの御陵ないぞ」て。「知らじ来たかい知ってきたか。知って来たなら横道者、

知らじ来たない可哀想ばってんが、こけぇ来た以上は

(へそ)は抜いてくりゅう」て。

臍ば抜いてくいたそうです、人間が。

そうしたらもう、臍きられて()ゃあて帰ったそうです。

そうしたら、親が来て

「何処ぇもう、川に放(ほお)り込うだけん海の中さい

流れちょるだろう」ち。そうしたらズーッと、

「臍ないかーい、臍ないかーい、臍ないかーい」ち。

ああ、海岸は海ば見て言いよるけん、

ここん辺(にき)は瀬戸内海て言うとばいねち。

そいけん、ここん辺(にき)は瀬戸内海て言う。

(出典 未発刊)

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