吉野ヶ里町 山崎光枝さん(明38生)
ここらへんは山じゃった。
昔ゃ昼でも暗かごとしとったですもん。
昔(むかしし)ですね。
そいぃ、そこに蕎麦(そば)と言うことば、
よう蒔きよんさったでよ、白かねぇ蕎麦。
そうしたら、もう爺さん達が酒飲んで
酔っぱらって晩(ばん)に帰っって来よっぎね、
野狐が、そこば温泉のとうに見せてかけてねぇ、
そいぎぃ、酔っぱろうとるもんだから、
わからんで温泉と思うて、もう着物(きもん)を
ぐらぐら脱いで、タオル持って、
こうこうして畑ん中でしよって。
そいぎぃ、野狐に騙されてね。
そりゃあ、ゆう聞きおたった。
(出典 未発刊)