吉野ヶ里町立野 福島康夫さん(大6生)
狐が田螺(たにし)に、
「おーい、田螺よーい」て、
叫(おら)んで降り向いたところが、
「おうー今来たかあ」て、言うてその、尻尾から落ちてですね、
言うたと言うような話をちょっと聞いたこともありました。
一、二の三で走ったその時にですね、尻尾にその、あの、田螺はこう、
あいとってちょっとこう、ふさぎますからね。そいで、
「おーい、田螺やん」と。
どうせ、あや走いきらんけんと思うて、
もうが反対向いて叫(おら)びよっ時にその、自が口を離して、
「おーん、あさんな今来たかーん」て。
[大成 一一 田螺と狐 AT二七五]
(出典 未発刊)