神埼郡吉野ヶ里町目達原 寺崎 作さん(明41生)

 馬鹿息子がですね、使いにやった時に、その、

「お前(まい)あの、ちょつとピントコショば買うて来い」

て、言われたらしい。そいけん、

「お父さん、『ピントコショ』て、何かい」ち言うたら、

「ピントコショは、ピントコくさい」て言うて、

まあ、ええ加減なもんで、そう言うてやったわけ。

そしてずうっと行く時、

「ピントコシヨ、ピントコショ」て言うて、行きよったらしか。

ところが、石に蹴(け)まつれたもん〔つまずいた〕やけん、

石に蹴まついた時に思い出すじゃん。

「ピントコショ」ち言うて。跳んだち言う。そいけん、

「蹴(け)まついたとが正解ち」言うた。

ひょっとした時に、頭で知恵がね。

そういう噂は聞いておりますね。

ピントコショやったて。

〔大成 三六二B 買物の名(AT一六八七)〕

(出典 吉野ヶ里の民話 P130)

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