神埼郡吉野ケ里町吉野ケ里 徳安達次さん(明37生)
やっぱいあの、にわか雨が降っとか、
そういう場合は、青蛙(ビッキー)ですね、
あれ【青蛙】がその鳴くと。
それで、一回聞いたことがあっですよ。
「あい〔青蛙〕、どおして鳴くか」と、
聞いたところが、あれが非常にあの、
親不孝しよったちゅう【してたというわけ】ですねえ、かねて。
それであの、物事をいつもあの、逆(さか)さまにばっかり聞いとった。
それでその親が、こいが、かねて自分が言うことを
もう逆さまばかいすっけん【ばかりするから】、
こらあ、俺(おい)が死んだない【なら】、
あの川辺【かわべた】に埋(い)けてくいろう。
そうしたなら、山にあの、埋くっだろう。
こういうことで、死ぬ時にそういうふうに、言(ゆ)うたと。
ところが、いわゆる、親子別れの時で、まあ改心したかなんかですねえ。
親の言うとおりに川辺に埋めたと。
そいで、少しばかい【ばかり】雨の降っぎい【降ったら】、
「親父が流れはせんか」と言うて、鳴くて。
そう言うように聞いております。
[大成 四八 鳶不幸]
(出典 吉野ヶ里の民話 P31)