吉野ヶ里町力田 平井ワカさん(大9生)

 お釈迦さんの臨終の時、

燕はお洒落しよったけん間に合わんやったて。

そいで、虫ば、あぎゃんとで。

雀は、サーッと行って、あぎゃんとしたけんが、あの、

「何でよかとば食え」て、お釈迦さんの言いんさった。

そいから、あの、蚯蚓は、あの、

「私(あたし)は何(ない)食うじゃろうか」ち言(ゆ)うて、

お釈迦さんの、

「あの、お前(まい)、泥ば食え」て、言いなったて。

そうしたぎと、

「泥食うてしもうたない、何食うやろうか」ち言うて。

そうしたぎと

「泥食うてしもうたなら、六月の土用(どゆう)の時に干されて死ね」

て、言いなったて。

そいけん、蚯蚓は夏の日に干されてね、道端に死んどっ。

[大成 七五 蚯蚓と土]
(出典 未発刊)

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