伊万里市波多津町木場 松下儀三郎さん(明30生)

 勘右衛門も、ふの良か時はふの大抵良うして、

ふの悪か時は大抵ふの悪かです。

和多田に小母さんのおらしたらしくて。

そのへんに遊び行って、帰り道ちょっと寄ったらしかですもん。

そいぎぃ、

「おう。勘右衛門来たねぇ。上がれ」て、

言わすもんじゃいけん、上がって。

そしていろいろまあ、話どんしよったところが、

「飯ないとん炊(ち)ゃあて食わしゅうじゃあ」ち。

「そんなら飯(めし)ゃあご馳走(っとう)になって行こうだい」

ち、ユックリしたらしかですよ。

そうしたら、そけぇ子どものおったとじゃろう。

もうちょうどこれくらいの芋ののそれば取って、

すぐそん、切って飯ん中(なき)ゃあ入れらしたらしかです。

ところがそれは子どもの糞だった。

こりゃあもう、食うちからまた、きついことなって、

家(うち)帰ったらしか。

そして大通りば帰りよったら、大通り茄子(なすび)漬けの落ちとった。

ああもう、口なわしこいないとん拾うち食えち。

こや味噌漬けばいち、拾うち食ったらしかですたい。

そうしたら向こうから婆さんが、あん、

道々ズーッとこう道ば見て来よらすちゅうもん。

「お前(まい)、何処(どけ)行きよるかい」ち。

「俺(おり)ゃあ三年も痔の悪かもんじゃいけん、

味噌漬けが良かてじゃったけん、味噌漬けば尻はすんどった。

そいが落(お)っちゃやきゃあて、痔の悪かもんじゃいけんが、

またけしからんのんだきた。

そして帰ったち言う話。

(出典 未発刊)

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