嬉野市塩田町 蒲原タツエさん(大5生)

 ほら、比丘尼、八百年も生きたて。誰(だい)じゃい薬屋さんが行たぎぃ、あらっ、遠か所(とこ)さい旅して行たて。

「今晩一晩泊めてください」ち言(ゅ)うて、行たぎぃ、

「あなたさん、何処(どっ)からですか」て、言うたぎぃ、

「西国の何々々のこういう所の村から」ち言(ゅ)うたぎぃ、

「あらっ。私もそっからですよ。あらっ、同じ村ん者ない、どうぞ家(うち)泊まってください」ち言(ゅ)うて、その晩一晩話しよったぎぃ、

「あらっ。私、あんた、いっちょん知らん」て。そこん家(うち)の娘さんに、

「いんにゃあ。私は、お寺のほら、過去帳のこけ持っていっどん、見っぎぃ、ズーッと、八百年も前についとっ。あすこの家(うち)の者(もん)ですよ」て、言うごとして、八百年も生きたということのあっですよ。

そいばあっきゃ。

(出典 蒲原タツエ媼の語る843話 P610)

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