嬉野市塩田町 蒲原タツエさん(大5生)

 梟【ふくろう】さんちゅう鳥【とい】のおんもんねぇ。

その鳥は鳥のうちで、いちばん怠けもんじゃったてぇ。

「冬は冬で寒かあー。ああ、ぎゃん時ゃ飛うでさるかれん」

ち言【ゅ】うて、木に止まっとっ。

仕事はいっちょでん、夏になっ時ゃ、

「ああ、暑か。ああ、暑か。日の照っ時ゃ、出られん」

ち言【ゆ】うて、ひっかどうどっ。何【なーん】もせんてじゃん。

そいーもんじゃあ、他ん鳥からねぇ、

「ああ、あの梟やあ。

梟とは、もう出てでん来んもんとは遊ばれん」

て、仲間はずしされたて。

そいぎ何時【いつ】ーでん巣の中【なき】ゃあばあっかい、

昼もおんもんじゃけんが、ウツラウツラ眠ってばあっかいおったて。

あーったぎぃ、夜さいなっぎぃ、

目の冴【さ】えて、目の覚めて、そうしてもう、

何処さんでん夜さい飛び回って。

そいけん、梟は夜さいの鳥て。

昼間は出てさるかん【うろつかあない】て。

作い話ですよ。チャンチャン。

[一  動物昔話その他]

(出典 蒲原タツエ媼の語る843話P22)

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