嬉野町上不動 北野栄作さん(明33生)

 むかし。

あるところに、身籠って、腹太うして、ある人が死んだて。

その子は腹から子は出さじぃ、葬ってしもうたてぇ。

そうしたところが、二晩、三晩としたところが

そのへんに、飴屋があって、立派な身なりをした奥さんが飴を買いに来るてぇ。

また来ると。

そうして、その、

「不思議かばい」て言うて、見たところが、

やっぱい、葬ってから墓の中でその子を産んどっと。

ところが、そいが、わかってみると、子供は生きて、

奥さんは死んで、飴玉をしゅういよったてぇ。

そいが、大きくなって何処かで生きておんさって。

今の話ではなかばってん、身籠った人が死んだら、

どうあっても、身、二つにして、葬らんばてぇ、いう話ば聞いとった。

そいばっかい【それでおしまい】。

(出典 嬉野の民話 P82)

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