嬉野町下野 松尾ユクさん(明37生)
むかし。
お寺の前に茶屋のあったちゅうもんなた。
そいぎ見知らん女子(おなご)の毎晩、飴がた買いに来よったけん、
爺さんの驚いて、その女子の後をつけて行きんさったら、墓さん行ったてぇ。
そいぎぃ、その墓さん行きんさったぎぃ、
その墓の分かれ目から赤子の泣き声のしょったて。
そいけん、妊娠しとる人の死んだ時は、
その死人を墓に埋むっ時は、赤子は生きとうけんが、
親の幽霊になって飴がたを買いに来て育てよった、て聞きよった。
(出典 嬉野の民話 P82)