嬉野市東吉田 中島末廣さん（明30生）
むかしねぇ。
狐を殺さないといけなかったらしい。
それで行ったわけですよ、殺しに。
ところがですねぇ、番人の二人が行ったら、どうしても殺さないらしい。
殿さんの病気の時にねぇ、
その狐の肝を食ったらという話をして、捕まえに行ってですよ。
狐ば捕りに行ってですねぇ。
どうしても狐を殺さないと。
それで今度は、
「俺よいか狐が可愛いか」と言って。
今度は、その人が、手を取りました。
すると、白狐がですねぇ、嫁御なったそうです。
その人の嫁御（よめげ）に。
そして、一緒になって、子を一人持ったんでしょう。
子を持ったなら、海岸端をずうっと行っていたら、
狐が蛇（くちなわ）を食っていました。
その子が。
それで、どうしてもその蛇を食うから、
遊びたくないといった風で、遊ばなかったそうです。
それで、自分も日曜の日ですねぇ、
連れて歩いて、蛇がいたら、
「蛇の出てきた」と言って、食っていたという話。
そして、今度は、その親がですよ、
親がそう言うなら、どうしても、あんな風だから、
と言うようで、親が死にました。
親狐がねぇ、死んでとあいう話。
（出典 嬉野の民話 P76）
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