嬉野市大野原 朝日ヒデさん(明36生)
むかし。
あるところにお爺さんとお婆さんが住んでおったと。
そこには小さな子供も一緒に暮らしていた。
その子は一寸法師と、呼ばれていた。
ある日、一寸法師はお椀の舟に乗って京に行った。
そして、一寸法師は大臣さんの家に仕えていた。
一寸法師は、そこのお姫様とお宮参りに行った。
すると、鬼がお姫様を攫(さら)おうとした。
一寸法師は、小さいから鬼の口の中に入って、腹の中でチクチクと、針で刺した。
鬼は余りの痛さに一寸法師を吐き出して、打出の小槌ちを忘れて逃げていった。
お姫様は、
「大きくなれ」と言って、打出の小槌ちを振った。
一寸法師は、大きくなって一人前の青年になったげな。
そういうことを聞いとった。
[大成 一三六A 一寸法師・鬼征伐型]
(出典 嬉野の民話 P78)