嬉野町春日 兩岡カチさん(大3生)
むかし。
あんたあ、たぶっを背負(かる)わせて、堤ン中ゃあ、
その話もちょっと言いおいなったねぇ。
猿が、
「俺(おい)が嫁御(よめげ)ぇ来い。俺が嫁御ぇ来い」
て、言うたぎにゃあ、
「太―うかだぶっば買うてくるぎにゃあ、嫁御ぇ来っ」
て、言うたてじゃんもんねぇ。
そいぎにゃあ、あの、花の堤の上に咲いとったとじゃろうねぇ。
そいぎぃ、
「そのだぶっば背中に背負うて、その花ば取いぎゃ行たてくいろ」ち、
言うたですもんね。そいぎぃ、
「まっと先ン方のあいがきれいか。まっと先さい行けぇ」ち、
言うてやったち。
そがん置(お)れぇてばい、
堤に入(ひ)ゃあぎそのだぶっに水入ゃあて沈うで死なしたちゅう、
て話ば聞きよった。
(出典 嬉野の民話 P69)