嬉野町西吉田 山口ミサヲさん(大2生)
むかし。
あるとこに、お父さんと何人かの娘が住んでおったと。
お父さんは旱魃(かんばつ)が続いたので、
心配になり毎朝、田回りに行っていた。
ある朝、お父さんは、
「あの、水の欲しか。水の欲しか」と、独りごとを言っていた。
すると、立派な男が何処からかやって来て、
「俺の言うことば、あの、
聞いてくるっぎにゃあ【聞いてくれたら】、水ば出してやる」と言った。
お父さん娘を嫁にやることを約束した。
お父さんは娘をくれたら、その男は蛇だったと、聞きましたよ。
そいばあっきゃ【それでおしまい】。
[大成 一一〇 蛇女房]
(出典 嬉野の民話 P64)