嬉野町上吉田 杉原英次さん(明40生)
むかし。
お釈迦さんの涅槃の時に、動物たちが集まったと。
すると、お釈迦さんは、
「お前は、何食え」と言って、決められていた。
蚯蚓が側から、
「私は、何ば食うてよかでしょうか」と言って、聞いた。
お釈迦さんは、
「お前は、泥食え」と、言われた。
すると蚯蚓は、
「泥ののうなっぎぃ【なくなってしまうこと】、何ば食おうか」と言った。
お釈迦さんは、
「泥ののうなっぎにゃあ、土用(どよう)のうち道に出て、寝とれぇ」と言われた。
だから、泥はなくならんけれども、蚯蚓が余りにも欲を出したから、
夏の土用に道端で死んどっと。
そいばあっかい。
[大成 七五 蚯蚓と土]
(出典 嬉野の民話 P24)