鳥栖市村田町 毛利カヨさん(大2生)

 爺さんが畑ば耕しよったら、

狸が出てきて石に座って冷やかしよった。

そいけん、鳥もちば石に塗っとって捕まえられた。

お爺さんのおんさらん時に、婆さんが米搗きよったら、

「ちかっとあけてくるっと、米ば搗(ち)いて加勢すっよ。

あの、自分が搗いてやっ」ち言うてから、搗いてから、

あの、頭ば戸棚の中に置いて、そして狸汁ばして、

お爺さんに食わせたこと、聞きよった。

そいけんあの、お爺さんの帰ってきた時、

「狸汁しとっけん、食べてください」て言うたりゃ、

あの、食べよったら、

「棚の上の、もう見れぇ。床(よか)ん下の、もう見れぇ」

て言うて、お爺さんに言うたけん、

見たりゃあ、殺されとったて。

そうすたりゃ婆(ばば)さんの骨だけあったそうな。

そうしたら、追っかけて行ってぎぃ、

爺さんは悲しんで泣きよんさった。

そいから、あの、臼とか、あの、栗とかね、かけつけてからね。

あの、蜂、あいてん。

火鉢の中に栗が入っとってから、パチッとはしって、

「熱(あち)ぃ熱ぃ」て火傷してから。

今度(こんだ)あ、臼があの、

上から出て行きよったぎ押さえつけたぎな。

そしたら、蜂が、あの、あがんとしてね。

そいから、焚物(たきもん)ば背負(かる)うて、

あの、連れて行ってから、あの、背中にボウボウ燃やして、

「カチカチいうとは、ありゃ何(なん)かい」ち。

「ありゃ、カチカチ山」ち言(ゅ)うてから、

焦がれたけん、今度あ、あの、背中の火傷したけんが

、膏薬ばつけて一時(いっとき)してから、あの、泥の舟とね、

木の舟と作って、兎は、

「遊び行こう」と連れて行ってから、あの、

真ん中んにきで泥じゃいけん、ドンドン崩れてから死んだげな、

言いないよった。

[三二B 勝々山]

(出典 鳥栖の口承文芸 P52)

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