鳥栖市幡崎町 久保山次朗一さん(大4生)

 ある所に、継母さん子供とほんな子供が二人おったそうです。

ある日、母ちゃんが、袋ば二つ作ってから、

「お前どもは、今から椎ば拾うて来い」ち言うて、

二人に持たせましたそうです。

で、二人が山へ行って椎を拾いかけたところ、

片ひらのほんと子供は、ドンドン溜るばってん、

継母さん子供は、いっちょん溜らんち。

なぜだろうかち思いよったら、しりが破けとったち。

そいから、ドンドンそいばってん拾いよったとこが、

もう日の暮れて、ほんな子供は家さ帰ったばってん、

「自分なまだいっぱい拾わんと、おごらるるけん」

ち言うて、暗うなったちゃ拾いよったち。

たところが、そこに小さか祠のあったけん、

入って、そけえもう今夜は泊ろうちて、

「どうかここへ泊めてください」ちて、

言ったところが、神さんが、

「こけ泊まったあ、よかばってん、

夜中になっと鬼たちが来てから、

チンチンドンチャンちて、にぎあわするけん、そん時は、

パタパタち言わせて、鳥の真似して、

『コケコッコー夜の明けた』ち言え」ち言うて、

神さんが教えなすったそうです。

ところが、十二時頃、

夜中になったところがほんなこて、

ドンチャンカンチャン言うて、

鬼たちが、にぎあわせて来たち。

そいけん、コケコッコー夜の明けた。

パタパタち、いわせたところが、そったちが、

もう何でんかんでん宝物なんでん、

ほったらかして逃げちいたち。

それを持って家へ帰った。

「お前もそんなら行って来い」ち言われて、

そう言う風にまたしたところが、また神さんが、

「夜中になったなら、鬼たちが、またにぎあわせに来るけん、

そん時は、『コケコッコー夜の明けた、パタパタ』ちて、

いわすっとよか」ち言うて、教えらすったち。

ところが、十二時頃なったところ、

夜中になったら鬼たちが、また来たけん、

「コケコッコー夜の明けた、パタパタ」ちゃって、

「クスクス」ち、笑うたそうです。

鬼たちが、腹かいてそん、ほんな子供は、捕まってへどかんに、

おうたか何かしたそうです。

(西南大の資料)

[二一二 栗拾い(AT四八〇)]類話

(出典 鳥栖の口承文芸 P127)

標準語版 TOPへ