鳥栖市藤木町　石丸広光さん（明41生）

　蟹とお猿さんと、自分に、

お猿さんは木登りが上手じゃからね、先に行って、

このー、上に登って自分だけ食ぶるけんで、

下から蟹は見上げて、

「ひとつ投げちくれー。ひとつ投げちくれー」ち言うてもね、

柿を投げちくれんけんで、うまか柿の落ちたけん、

そいばはそんで穴ん中に逃げ込んだら、猿が降りて来て、

糞(くそ)たれば穴ん口したげなけんで、

尻ばはすうで、

「毛、くるるけん離せ。毛、くるるけん離せ」

ち言うたけんで、

ここの(親指の)へんに蟹の毛があるち。

(西南大の資料)

［二四　猿蟹柿合戦（cf.AT九C）］類話

（出典　鳥栖の口承文芸　P36）

標準語版 TOPへ