鳥栖市高田町 有馬保男さん(明29生)

 怖(こわ)がらすっために鬼婆の話です。

坊さんが山奥に行って、道を迷うて

山の奥に火が見えたから、そこを頼って行って。

そして、

「今夜一晩泊めてくれ」とね。

「今夜一晩泊めてくれ。」

そすと、言うと、そこへ、婆さんが木綿車を

グーググーグ引かしたってね。そすと、すの時、

「泊めてくれ」ち、「泊めてください」て言うと、

最初は辞退した。そして

「今夜は泊まんなさい」と。

「しかし、部屋が見苦しい部屋じゃき、で、

見苦しい部屋じゃけんで、ここでよかならば泊まんなさい」て。

「そんならば、泊まんなさんならば、

何にも十分用意がしとらんけんで、

チョッと薪(たきぎ)がなんか取りに行こ」

ちゅうとこじゃなかったろうか、外へ出た。

婆さんが外へ出た。

その出た後に、ホッと入って来て、

その婆さんが帰って来てから、

「ほんに忘れとった。あすこの、次の間ば、絶対開けちゃいかぞ」

そるけん、絶対開けちゃいかんちゅたもんじゃけんで、

今度は余計見ろごた。

そうして見たところが人間の骨ばかりで、そるけんで、

お前たちも、そう言う山へ行た時は、食わるるかわからんから、

山へ行たときは用心せないかんというようなことですたいね。

そして、帰って、見たもんじゃけん今度は、

その人が泊まった人が、もう、中は骨(こつ)だらけじゃろう、

骨(ほね)だらけじゃから、もう、一生けん命逃げて、

逃げててから、今度は見つけられてから、

こりゃ見つけられた、見つけられたて思うてから、

鬼婆さんが追いかけて来たばってん、もう、そら、

もう、見つけたかなんか、

そこんとこは聞きもらして知らん。(未完)

(西南大の資料)

[本格昔話その他]

(出典 鳥栖の口承文芸 P149)

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