鳥栖市加藤田町 横尾勝弘さん(昭13生)

 いつもあの、雨蛙の子どもが、もう親の、

「こうしなさい、ああしなさい」と言うた場合には、

いつも反対ばっかり、ま、してた。

また、反対を言ってた。

それで、親が、ま、そう言う風なこと知ってるもんですから、

ま、親蛙が死んだ時には、

そのいつも反対ばかり行うもんじゃけんて、

「俺(おい)が死んだ時には、山に埋けてくれ」と言ったのが、

その子蛙は、親が死んだ時なっと、その正しいことを、

親の遺言を正しく聞こうと言う風なことで、ま、

「その山に埋けてくれ」と、こう言う風なことを言いよった。

そしたら、今度(こんだ)子蛙は、

その正しいことを言うたもんじゃけん、

親はもう、はじめ言うたことと、

反対にするだろうというなことでしとったら、

その、川に埋けたと。

それで、雨が降る時分は、もう、いつも、

「流される。流される」ちゅうことで、

ギャア、ギャアこう鳴くと言う。

(西南大の資料)

[四八 鳶不孝]

(出典 鳥栖の口承文芸 P83)

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