鳥栖市牛原町四阿屋 竜尾マサエさん(年齢不詳)

 むかし。

あるお寺に、和尚さんと小僧さんが、住んでいたと。

和尚さんは、大変、甘酒が好きで小僧には飲ませないで、自分ばかり隠れて飲んでいた。

ある日、和尚さんは甘酒を飲みたくなった。

和尚さんは、小僧が、いては甘酒を自分ばかり飲むわけにはいかないので、

「お使いに行ってくれ」と言った。

和尚さんは、その留守に甘酒を棚から持ち出して来て、美味そう飲んだ。

小僧さんは、和尚さんばかり、美味そうに甘酒を飲んでいることに気づいていた。

また、ある日のこと、和尚さんは便所に隠れて甘酒を飲んでいた。

そんなこととは知らずに、小僧さんは和尚さんが留守だと思って、甘酒を飲もうと思った。

しかし、甘酒を飲んでいるところを和尚さんに見つかっては、大変だと思って、

小僧さんは便所に隠れて飲もうと思った。

小僧さんは、甘酒を丼(どんぶり)についで便所へ持って行った。

その戸を開けると、和尚さんが丼を抱えて飲んでいるので、小僧さんは、

「和尚さん、お代り」と甘酒を差し出した。

そんなことで、とうとう小僧さんは、甘酒を飲むことは出来なかったと言うことさ。

(出典 佐賀の民話第二集 P27)

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