西川登町神六 前田庄三郎さん

 むかし、むかし

あるところに親のいうことに反対ばかりする親不孝の蛙がいた。

例えば、親が上といえば、下という。

下といえば上という。

川といえば山という。

そういういじわるで、反対ばかりする親不孝の蛙であった。

ある日、親蛙は病気にかかり、

いよいよ自分は死が近づいてきたことを悟った。

しかし、親不孝の子蛙を思うと死んでも死にきれない気持ちであった。

そこで、親不孝の子蛙に、

「自分が死んだときは、川端に埋めてくれ」と、親蛙は頼んだ。

親蛙は、いつも反対ばかりしているから、川端と言っておいたから、

山頂に自分が死んだら埋けてくれるだろうと思った。

しかし、親不孝の子蛙は、親が死にぎわに言ったことぐらい、

反対のことばかりしないで、言われたとおりにして、川端に親の死体を埋めた。

だから、雨が降ると、

「親が流れはせんか」と、心配して蛙は鳴くそうな。

そいばあっかい【それでおしまい】。

(出典 佐賀の民話第一集 P152)

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