武雄市西川登矢筈 友広ツルさん(明36生)

 黒髪山に大蛇がおって、万寿姫に兄弟が

八人おいなったやったかねぇ、そうして、大蛇が、

毎年、一人づつ呑みよったてやんもんなたぁ。

そして、最後に、一人の娘の残ったとがなんたぁ、

万寿姫て。そいで、

「万寿姫まで、ひん呑まるっ」て言うて、

大抵心配してですねぇ、

鎮西八郎為朝に頼んだそうです。

そうして、とにかく、

大蛇の飲みぎゃくっとば待ち伏せして、

万寿姫ばそこに据えて

そいから、鎮西八郎為朝が弓ばかけてですねぇ、

そして、その大蛇ば取ったてぇ。

そいぎぃ、太うして切いおらしたぎですねぇ、

尾から刀の出たてじゃんなたぁ。

そうしたら、

「こりゃぁ何(なん)か、

ただ物(もん)じゃなかけん」

て言うて、上げんさったちゅうて聞きおいました。

 

  武雄市西川登神六 井出安次さん(明37生)

 黒髪山の大蛇退治の時、白川の池に、棚ば作って、

万寿姫がそけぇ上がって、

その姿を下の池に写して、

その姿を見て大蛇が登ってくっとこば、

鎮西八郎為朝が討つて。

そいけん、大蛇が来るまでは、

万寿姫は大般若経ば誦んで、待っとったそうです。

(出典 佐賀県文化財調査報告書 第71集「~矢筈・神六の民俗~」p139)

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