武雄市西川登矢筈 友広リキさん（明38生）
貧しか家じゃいどん知らんとんくさんたぁ、
三人息子ば持っとらしたてやんもんなたぁ。
そいぎ、親父さんが、
「わい達（お前達）は、何が一番願うかぁ」て、
お父さんが訪ねんさったてぇ、息子ん三人に。
そいぎにゃぁ、
「わい（お前）、言え、わい（お前）、言え」て、
兄弟三人言うたそうですもんね。
そいぎぃ、
「小【こ】―まか（小さい）とから言え」
て言われたけん、
そいけん、一番小【こ】ーまか（小さい）とが、
「俺【おり】ぁ日本中にある田んなかが、
みんな俺【おい】がとじゃぎぃ、よかいどん」
て、そがん言うたてぇ。
そいぎ、まいっちょんと（もうひとり）が、
「俺【おり】ぁ、日本中の山がしっきゃぁ（全部）
俺【おい】がてぇなっぎよかいどん」
て言うたて。
そいぎなたぁ、一番惣領息子に、
「わりゃぁ、何ば願うか」て言いんさったぎ、
「俺【おり】ぁ、馬の屁ば三つ願う」て。
「わりゃぁ、惣領息子とこりぇ、
屁どんば三つ願うてぇ」
て、親父さんが言いんさったてぇ。
そいぎにゃぁ、
「俺【おり】ぁ、そがぁな願い物をさせた親父と、
その弟どめぇ二人【ふちゃぁ】に、
いっちょづつくるっとたい」
て言わしたてぇ。
そいばぁっきゃ（これでおしまい）
（出典 佐賀県文化財調査報告書 第71集「～矢筈・神六の民俗～」p133）
