武雄市西川登神六 前田正三郎さん(M20生)

 ある所に、継子と継母がおらしたそうです。

ある時、お父さんが仕事に行った留守に、

継子を釜に入れて湯で殺しよったそうです。

そうしたら、お父さんが帰ってきたので、

継母が慌てて蓋をしたら、お父さんが、継母に、

「何【ない】どん煮よろっ(何を煮ているのか)」

って聞いたそうです。

そうしたら、継母が、

「味噌豆煮ている」て言うたので、

お父さんが、

「それじゃ、いっちょ(ひとつ)

舐めてみゅう(舐めてみろうか)」

て言いなったところが、

「いいや、舐められん、舐められん」て言うて、

少しも舐めさせようとしなかったそうです。

それで、お父さんは、おかしいと思って、

釜の蓋を取ってみたら、

中には地蔵さんが入っとったそうです。

それは、継子が学校に毎日行き来する時、

地蔵さんの所を通るので、

頭を下げてお詣りして通りよったそうです。

地蔵さんが身代わりになって、

継子を助けてくれたのだそうです。

(出典 佐賀県文化財調査報告書 第71集「~矢筈・神六の民俗~」p115)

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