多久市北多久町中ノ原 飯盛康晴さん(明43生)

 盲(めくら)さん【目の不自由な人】が、

あつこば【あそこを】通いよって。

そして通いよってですね、ちょっと踏み外して、

まあ、盲さんで昔の座頭さんて言うかなあ。

その人が通りよって、そうして道を外して、

崖を切り開いた狭い道やったから。

そこでその、今の盲さんが落ちて亡くなって。

そいから、まあ、「盲落とし」と言うて、

あつこにお祀りしてあったですねぇ【ありますね】。

地蔵さんか何か。

そうして、それからその、お祀りすっ【します】。

そいけん、あつこば通っ時ゃ、

必ず我々は、よう【よく】、

拝(おご)うで行きよった。

「拝うで行かんば、

うっちゃゆっじゃあ【落ちるよ】」ち言うて。

[自然説明伝説・岩]
(出典 多久・飯盛翁が語る佐賀の民話 P114)

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