多久市北多久町中ノ原 飯盛康晴さん(明43生)

 豊臣秀吉が、大名達を寄せた時にですね、

その時に、大名が関白太政大臣の秀吉公の前で

屁ふったらしい。

すると、

「こりゃあ、大事なったぞ。こりゃあ、

もう将軍の前で屁ふったとないば、

こりゃもう、必ずこりゃもう、

無礼者で打ち首なるかもわからん」

と心配したが、これは、やっぱり所嫌わず、

屁をするなら仕方ないね。

それだから、まあーだ大名まで

なってないわけですね。

大名と言っても城持ちじゃなかったわけです。

城も持たずに、そうやってきたもんだから、

こりゃ打ち首なるかもわからないぞ、

と言っていたら、その家来がですねぇ、

「ブーニチョウチョウ」と言ったと、

ブーッと、屁ふったそうです。

そうしたら、

「上様、ブーンチョウキョウ」と、こう言うと。

そうして、

「草木もなびく勢いかな」

と家来が言ってくれたそうです。

そうしたら、秀吉公が大いに喜んで、そうして、

「やあ、お前(まい)その、いい家来ば持っとっ。

さすがは、何(なん)とか」と言って、

城を貰ったという話を聞いていましたねぇ。

[文化叙事伝説・英雄]
(出典 多久・飯盛翁が語る佐賀の民話 P106)

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