多久市北多久町中ノ原 飯盛康晴さん(明43生)
昔は、ほら、土葬していたでしょう。
土葬して、大概（たいがい）、
櫓（やぐら）を作っていたんですもんね。
そうして櫓を作って、白い墓に戒名を書いて、
立てていたわけですね。
そうして、あれが夜などに風が吹くと、
こうこうと揺れてまして、通り掛かりの人が、
「幽霊の出とった」と勘違いしていました。
目の錯覚か何かだったんでしょう。
幽霊が出ていたと言うようなことを、
まあ言ってました。
それで、団子（だご）とか、ご飯を
必ずそこの墓場に置いていたんですもんね。
仏さんに上げたのを、またそこの土葬した所に。
それをやっぱり、近くの烏（からす）たちが
食べていたのは、事実と思いますよ。
それで、烏が、鳴くと、
やっぱり団子とかご飯を食べに来るために、
鳴いていたわけですが、
烏が鳴いたら死人が出るぞと、
ちょっと話が変化してきただろうと思いますが。
［世間話］
(出典 多久・飯盛翁が語る佐賀の民話 P91)
