多久市北多久町中ノ原 飯盛康晴さん(明43生)

 あの、河童(カッパ)が堀際(ほりぎわ)、

日向(ひなた)ぼっこしとったて。

そん時、そのイタチが、

その、魚捕ろうで思うて、

出て来たてっじゃん【出て来たそうな】。

「捕(と)ろい」

そいぎ河童が、こん畜生(ちきしょう)、

と思うて、

ひっ捕まえたてじゃん【捕えたげな】。

そうしたぎぃ、そん時とにかく、

その、屁ふったのが、

ちゃんぎり屁(べ)、ち言う。

もうとても、その、臭(くそ)うして、

とうとうその臭いで、

もうどがんしゅんなし

【もうどうしようもなくて】、

河童が手ば離(はに)ゃあて。

そうしてイタチは、ちん逃げて行たて、

言う話は聞いとっ。

そいまあっきゃ

[世間話]
(出典 多久・飯盛翁が語る佐賀の民話 P89)

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