多久市北多久町中ノ原 飯盛康晴さん(明43生)

 よう河童が相撲取いよった。

そして人間と

相撲取いよっぎにゃあ【取っていたら】、

その、なかなか、

その、河童が頭の先、水ばあの、溜めとぎいと、

強からしいもん。

ところが、そいばその、一遍(いっぺん)その、

転ばかすぎにゃあ水ののうなって。

そいぎにゃあと【そうしたら】もう、

河童はもう、

どがんこってん【どんなことをしても】もう、

人間にゃ勝ちゃきらんてったんて。

そいけんがその、

「河童にあの、頭の所(とこれ)ぇ、

水どん入るっごとなんじゃあ

【入れてはならないぞ】」て。

「あい入るっぎにゃあ【あれを入れると】、

とても人間な何人かかってちゃ【かかっても】もう、

とても及ばんじゃあ【及ばないよ】」

ち言(ゆ)ことの話ゃ、聞きよったですがねぇ。

[世間話]
(出典 多久・飯盛翁が語る佐賀の民話 P84)

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