多久市北多久町中ノ原 飯盛康晴さん(明43生)
「佐嘉の者の通ったあとは草も生えん」て
言うのは、その、
悪い方面から判断すっぎにゃあ、
こうほんにいかんばってん
【本当にいけないけれども】、
しかしながら、葉隠れ精神の中は、
佐嘉の者は昔からようには、
「立つ鳥は跡を濁さず」と言うことで、
佐嘉の者がとにかく立ち去ったあとは、
きれいに誰が来てもいいようにきれいにして、
とにかく立ち退いて行く。
もう、俺(おり)ゃあ、
こけにゃもうおらんけん、
こけにゃあ【ここには】住まんけんが、
もうあとは、ううしかつして【散らかして】
行くじゃなくして、きれいにして行くと。
そいであとの人のためにも、ちゃんとして行く
と、いう精神の中で、あれはあの、説いたとを、
まあ悪い方向に判断したわけなんですよねぇ。
[俗信譚]
(出典 多久・飯盛翁が語る佐賀の民話 P80)