多久市北多久町中ノ原 飯盛康晴さん(明43生)
多久の、婆(ばば)さんは男だった、
と言う一口話があります。
お婆さんと言うのは、まあ、一般的に、
「ばあさんのことをお婆さん」と、
こう言うものですね。
ところが、男の場合でですよ、
長男坊のことを、おばあさんと言ってたわけです。
ところが、まあ一般的には、
「おばあさん」と言ったら、婆さんのこと。
おばっちゃんのこと、おばさんと。
だから、
「多久のおばあさんな、男じゃってったん」
と言うのは、
兄(あん)じゃい者(もん)のこと。
兄貴のことですよ。
兄貴のことは、おばあさん、と言ってました。
[俗信譚]
(出典 多久・飯盛翁が語る佐賀の民話 P73)