多久市北多久町中ノ原 飯盛康晴さん(明43生)
それは中国の話でですね。
その、非常に親孝行する子供がおって。
そしてその、冬の最中(さなか)に雪の降った頃に、
その、父親が、竹の子を食べたいと、言うことで。
そしてその、しきりに、
「もう竹の子を食べたい」と、言うもんだから。
しかし、真冬の中に、雪はもう積もっとに
竹の子はとてもありゃあせんばってんが
【ありはしないけれども】。
しかし、
親がそういうふうでもう、死にぎわになって、
「竹の子食べたい」て、言うもんだから。
そいもんだから、
鍬(くわ)を持って、そしてその、
山の中に、その、雪の中を歩いて探し回って。
そして、やっと竹の子を、
小さな竹の子の子を掘り出してたべさした、
ていう、その親孝行の話は中国にあったて、
言うことでですね。
[大成 補遺四 孟宗竹]
(出典 多久・飯盛翁が語る佐賀の民話 P64)