多久市北多久町中ノ原 飯盛康晴さん(明43生)

 ええ、侍同士、

肉をすき焼きしよったわけ、野菜と。

そうしてその、食べよったところが、

その「武士は名(菜)を残す」て言うて、

肉ばっかい食(き)いよったわけよ。

そうして、菜を残してね、

野菜を残して肉ばっかい

食いよったけん【肉ばかり食っていた】。

そうしたぎぃ、今度(こんだ)あもう、

肉ばっかい誰(だい)でん全部(しっきゃあ)

先食うもんだから、

野菜だけしまい【終わりに】残ったわけよ。

残ったもんだから、

「武士は名(菜)を絶つ」て言うてね。

そうしてその、今度あ菜をとったて、いう話を

私は早(はよ)うから聞いとったですがね。

(出典 多久・飯盛翁が語る佐賀の民話 P58)

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