多久市北多久町中ノ原 飯盛康晴さん(明43生)

 そいから今度(こんだ)あ、ある日、もう寒くなってきたもんだから、

そいで、その、息子が障子貼ったらしい。

そいで、障子ば貼ってしとったぎにゃ(貼っていたら)、

もうじき(もうすぐ)その翌日、その、子供が障子ば破ってしもうたて。

そいぎぃ、破ってしもうたもんだから、そのしゃじさんがやかまし言うたらしい。

「折角、俺(おり)ゃあ、苦労して障子ば貼っとっとこに、

何てがんつう破ったか(どうして破ったか)」と、言うてしたぎぃ(言うたら)、

その源さんが、

「大人になっぎ(なったら)破らんもんない(破らないよね)」て言うて、言うたらしい。

そう言うまあ、思いやりのまあ、一口話。

(出典 多久・飯盛翁が語る佐賀の民話 P31)

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