多久市北多久町中ノ原 飯盛康晴さん(明43生)
まあ、むかしその。
猟師がおって。
そいでその、狸が出て来たもんだから。
そうしたぎぃ、
「狸が自分は腹が太い」と。
「お腹(なか)に、あの、赤ちゃんが入っとっけんが【入っているから】、撃ってくるんな」
ち言(ゅ)うて、腹ばさすったらしい。
そうしたぎぃ、猟師が、あはーあ、こりゃ狸が腹ば撃てと
言いよっばいにゃあ【言っているなあ】と。
そいで腹を目かけて撃ったぎぃ【撃ったら】、
その、腹ん中(なき)ゃあ、あの、
小さな子供が入っとったあ【入っていた】、と言う話は聞いとったあ。
(出典 多久・飯盛翁が語る佐賀の民話 P17)