多久市北多久町中ノ原 飯盛康晴さん(明43生)
ちょうど、今の潮の引いとっ時分(じぶん)に、
その、ムツゴロウと、そいとシャッパと、
そいからワラスボと三人、日向(ひなた)ぼっこしとったて。
そして日向ぼっこしとったぎにゃあと【していたら】、
そのムツゴロウが、
「おい、スボ」て。
「ないこう【何だねぇ】」て。
「あさんな、シャッパの嫁げぇならんかーあ【嫁にならないか】」
て言うて、言うたてっじゃんもん。
そいぎぃ、そん時、そのスボが、
「いやじゃーあ」ち言うて、歯ばむき出(じ)ゃあたて。
そいから、あがん歯は、スボの歯は出とってったんて。
(出典 多久・飯盛翁が語る佐賀の民話 P13)