多久市北多久町中ノ原 飯盛康晴さん(明43生)
鼠(ねずみ)をその、猫が追いたくってしよったと。
そして鼠をその、鼠は元々ほんにあの、大黒(だいこく)様の、
その、何(なん)ちゅうですか、お使い人ということで、
そういうそのまあ、
大黒様の側近にある動物じゃったわけのまい【であったわけね】。
そいもんだからその、
「子(ね)・丑(うし)・寅(とら)の子をいちばん最初、付けてもろうた」
て、いう話を聞いてですね。
そして、その鼠を、そういうその大事な鼠を、
その、いつも猫が追い回すて、その、すっちゃうわけよ。
そいけん追い回すけんが、そいけんが、
「猫はいかんけん、こりゃもう入れじいっちょこう【入れないでおこう】」
と言うて、お釈迦(しゃか)さんが、
「あの、鼠ば余(あんま)い認(したた)むっけん、
そいけん、こりゃもう、その十二支の中には入れちゃいかん」
ちゅうことで、
「お前は十三月じゃ」
と、いうて言いよったちゅうことを
おぼろに私は母から聞いとりますがねぇ。
そりゃほんなことじゃい嘘(すら)ごとこっちゃい
知りゃせんばってんがさい(であるか知っていないけれども)、
いずれにしてもそういうふうでしょうねぇ。
[大成 十二 十二支の由来]
(出典 多久・飯盛翁が語る佐賀の民話 P2)