ひとついっぺんの屁ひり嫁

ひとついっぺんの屁ひり嫁

金立町大小野 山崎鹿一さん(明39生)

 倉谷のふうけ者がくさんたあ、

嫁御貰おうでしよんもよう。そいぎぃ、

「いっちょ、嫁御ば世話してくっれんかん」ち。

そいぎぃ、

「良か嫁御を世話しゅうだん」ち。

「そいばってんがその、ほんに器量もよし、

良か娘ばってんが、そいが、

ひとつきいっぺんずつ屁ぶんもんない」て、

言うたらしかもんなたあ。

「うーん。そりゃあもう、一月(ひちつき)一遍ぐりゃあ、

ふって良かくさい」ち言うてから、

「そんないばあ、世話してくいろう」ち言うてから。

そいぎぃ、まあ、話がまとまってその、

いよいよ祝儀の済んで寝たところが、

一遍突くたんびに、

「ブッ」て、屁ぶっらしかもんなたあ。

突くたんびに、ふんもんじゃい、

一か月一遍じゃなくて、その、ひとつきは、

ひとつきぶいの違うてくさんたあ。

そう言う風な話、いっちょ聞いたごとのあってぇ。

(出典 未発刊)

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