東与賀町大野一区  (名前・年齢不詳)校長先生

 良くぞ聞かないとですね、

「お(まい)は、シオミズ(どい)のごたんのう」て。

「シオミズ(どい)ちゅうぎぃ、(なん)かんたあ」ち

言いよったぎさい、

「潟に千鳥(ちどい)かも知れんけども、

シオミズ鳥と言うたい」と。

(なん)につけても、親が言おうが(だが)言おうが、

反対ばかいすっ。

そいが反対ばかいしおったが、その親が、まあ、

寿命がきて死ぬ時が来て、病気が重くなって、

死ぬばいと思うごとなった。

そうすっとその、親のシオミズ鳥は

山に埋めてもらいたいと思うとった。

そいぎぃ、山に埋めてくれんこうと言うたこんのう、

海埋めはすんみゃあかと。

だから、海に埋めてくれて言うたら、

山に埋めてくれはすんまいか、と思うたから、

「海に埋めてくれ」と言って、死んだそうです。

ところが、そのシオミズ鳥が、お母さんの

死にんさった時なっとん、言うこと聞こうかと思って、

海に埋めた。

だから潮が満ちてくる度(たんび)に、

そのシオミズ鳥は悲しい声で鳴くちゅうわけ。

ところが、これと(おんな)じ話が

南川副(佐賀市川副町)にあるね。

ただ、同じ話だけれども、名が違ってね、

チョウヒン(どり)という。

向こうで、犬井道にきで言うこと聞かんぎぃ、

「お(まい)チョウヒン鳥のごたっ」ち。

チョウヒン鳥ちゅうぎ(なん)かと思ったら、

ちょうど、私が母から言われたシオミズ鳥と

同じ話であった。

(出典 未発刊)

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