富士町東畑瀬 畑瀬秀司さん(昭2生)

  時鳥は、

「カッチャンとけたか」て、鳴くですもんね。

八〇〇八声鳴くぎぃ、死ぬて言うですもんね。

ありゃ、

「母ちゃん髪の解けたか」て。

 二番嬶(がく)さんがですよ、

先妻の子供ば髪ばわざと櫛で痛かごとけずって。

そいぎぃ、

「カッチャンとけたか」て。

そいで、けずってもらっているうちに、

時鳥になってですよ、飛んでいったて。

  そいぎい、  次の年、桜の木のところで、

「カッチャンとけたか」て、鳴きよって。

そいぎ物知りの和尚さんに聞くぎん、

何ちゅう鳥かわかろう思うて、

「どがん意味じゃろうか」て。

「ありゃー、母ちゃん、髪の解けたか」て、

鳴きよって。

                       [大成 四六 時鳥と兄弟]

(出典 未発刊)

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