佐賀市成章町 宮地ニワさん(明39生)
むかし。
あるところに、その、
二番嬶(がく)さんのおいなったて。
そうしてもう、何(なん)でんが
わがどんばっかい食うて、
その娘にゃ食わせん如しお手しないよったて。
そうしてもう、そがんしよったっちゃ、
もう娘がおっとの、
ちょっと憎らしゅうてたまらんて。
そいぎんとは、前の子ば、その、
味噌豆炊きよっちゅうて、人の来なっぎんとは、
味噌豆炊きよっちて、太-かうう釜さんに、
その娘ば入れて蓋して炊いて、炊き殺す。
そいぎ人の、
「何(なん)炊きよっかんたあ」ち言うぎぃ、
「味噌豆炊きよっ」ち言(い)うて、言うけんが、
「七里戻ってでん、味噌豆ちゅうないば食べんばち、
蓋(ふた)開けて食べてから。
そいけん、必ず食べろ」ち言(ゅ)うてから。
そいけん、高尾で味噌搗く時ゃ、
「味噌豆炊いて」ち言(ゅ)うて、
隣のおサトさんの持ってくいないよった。
(出典 未発刊)