佐賀市大和町川上地区(平野)千々岩チヨさん
河童(かわっそ)が、子供が泳ぎよっ時ですね、
「相撲とろ、相撲とろ」て言うたて。
そいぎ、その子供が、
「ちょっと、ひだるか(お腹がすいた)けんが、家ぃ行たて飯ば食うてくっけん、待っとれ」
て言うて、御飯食べぎゃぁ、家へ帰ったて。
そいぎ、家の婆さんが、
「今のう飯は無かけんが、仏さんぶっく(仏壇に上げたご飯)どん、食うていけ」
て言わしたて。
そいぎ、その仏さんぶっくば食べていたぎ、河童が、
「もう、我が(お前は)、仏さんぶっくば食うてきたけん、俺(おり)ぁ相撲とらん」
て言うたて。
仏さんぶっくば食ぶっぎ力が出て、相撲に負くって、河童が分かっとっけんて。
そいばぁっきゃ【それでおしまい】
(出典 大和町の民話 P31)