佐賀市大和町春日地区(駄市河原)古川末雄さん
妊婦ばそのまま墓に埋(い)けたぎ、何日かしてから墓の中で子供を生んだわけですよ。
そいぎ、子供が泣いてね、しょうがなかもんじゃから、結局、もう、自分は死んでいるからね、乳も何もでんでしょう。そいでも、子供は生きとるでしょう。
そいもんじゃから、何かやらんばていうことで、六文銭と木の葉ば持って飴方ば買いにいって、そいて、飴方ば持って帰ってきて、その子に食べさせよんさったちゅうわけなんですよ。
そいぎ、その人がきれいなお母さんじゃったもんじゃけん、その店の人は本当のお金て思っとったわけ。
そいばってん、翌朝見るとね、必ず1枚か2枚か知らんけれども、木の葉が入っとったちゅうわけですね。

子育て幽霊
それで、「こりゃぁ、おかしい」ちゅうことで、誰か、その女の人の後をつけて行ったわけなんですよ。
そうすっと、お寺のお墓の中に入って消えるもんですからね、その墓を掘り返したら、赤ちゃんが生まれとったちゅうわけ。
それで、お腹の大きくなった女の人が死んだ時は、お腹の子供は分けて埋めんといかんていうて。
(出典 大和町の民話 P30)