佐賀市大和町松梅地区(仲)山本清吾さん

 むかぁし、

さんが、畑を通いよんさったぎ、ヤコ(野狐)がそこに昼寝しとったそうです。

そいぎ、山伏さんが、いっちょ、びっくいさせてやろうで思うて、ヤコの耳に法螺貝(

ほらがい)を持っていたて、一生懸命、ひどう鳴りゃぁたそうです。

 

山伏さんと野狐

山伏さんと野狐

そいぎと、ヤコがびっくいしてケンケンケンて逃げていったて。

そいぎ、そん時ぁ、山伏さんが勝ったばってん、次にまた、その田舎道を通いよったところが、日の暮れ方になって、前から葬式の行列の来よったて。

そいぎ、「こりゃぁ、葬式の通っ。縁起の悪か」て言うて、木の上ぃ登って通い過ぎっとば待っとらしたわけ。

ところが、その葬式がこともあろうに、山伏さんの登っとらすの木のぁ棺桶ば埋めたからですね、葬式の行列の帰った後で、棺桶ん中から、生焼けした死体が出て来て木に登ってきたて。

そいぎ、山伏さんな、もうどがんしゅうもなしい、丁度、反対側が川じゃったから、「彦山権現さんのおいとまごい」ちゅうて、その木の上から川に跳び降りたて。

そいぎ、川の中て思っとったら、そこは蕎麦畑じゃったて。

そいでばっきゃ【それでおしまい】

(出典 大和町の民話 P28)

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