佐賀市大和町松梅地区（柚木）田中キクさん
ミソッチョと熊鷹
むかぁし、ミソッチョ（鷦鷯）のね、熊鷹んりぇ、「俺（おい）が、とったけん、食べにぇ」て言いにきたて。
そいぎ、お世話になって帰りにね、熊鷹がミソッチョに、「どま、どがんして（どのようにして）捕ったかい」て聞いたぎね、「耳の巣んぁって、そして、チュッチュッチュッチュッて、ずうっと鳴いたぎ、がやかまっしゃぁして死んだ」て言うたて。
そいぎ、「あぎゃん（あんなに）もぅして、あいしゃぁが（あいつでも）ば獲いゆんないば、おどま（俺は）、まぁだ太かとば捕ってくるっ」て言うて、空ば飛んで行きよったて。
そいぎ、の二匹、寝とったて。
そいぎ、「二つなりぃ（二匹ごと）いっしょに捕ってくるっ」て言うて、二匹のの両方に、爪ば二つ打ち込んだて。
そいぎ、が両方さん、こう別れて逃げたけん、熊鷹の股が張い裂けたて。
そいで、「欲な熊鷹、股張い裂くっ」て言うて。
そいばっきゃ（それでおしまい）
（出典 大和町の民話 P19）
